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都内に新しくできたショッピングモールについて分析・考察します

何故最近都内に商業施設の建設ラッシュが起きているのか

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1.数値で見るショッピングモールの増加

ここ数年、都内では多くのショッピングモール・商業施設の建設が相次ぎました。ヒカリエ、KITTE、二子玉ライズ等思いつくだけでも枚挙に暇がありません。数値上でもその増加の傾向を確認することができます。下の図は一般社団法人 日本ショッピングセンター協会が発表した資料です。

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全国のSC数・概況 | 一般社団法人 日本ショッピングセンター協会

 これを見ると2012年を底に、増加傾向に移り変わったことが見て取れます。中でも中心地域での増加傾向が強いこともわかります。(※中心地域:当該市・町・村の商業機能が集積した中心市街地)

 ちなみに、図の中では2007年を境に大きく減少していることが目立ちますが、これは大規模小売店舗立地法が2007年に改正されることを見越しての建設駆け込み需要であったと言われています。

www.jmrlsi.co.jp

 

 

 

2.なぜ増加しているのか

 では何故最近増加傾向にあるのでしょうか。その要因は大きく分けて3つあると考えられます。

  1. 近年の東京都の地価の上昇による土地の有効活用の必要性
  2. オリンピックを見越した再開発の中心地としてのSM
  3. 小売業界のトレンドの変化への対応策

では其々について考えてみましょう。

 

 

2-1.近年の東京都の地価の上昇による土地の有効活用の必要性

 ここ数年の東京都の地価は2008年のリーマンショック前の水準までを上昇しており、今後も数年間は上昇見込とされています。地価が上昇するということは、それに見合った収益をあげる施設が求められます。それがショッピングモールというわけです。

 速水健朗氏の著書「都市と消費とディズニーの夢」でも、これに関連した記載があります。ニューヨークグラウンドゼロの跡地に何を建設するかを巡る変遷のなかで、当初はメモリアルパークなどの非商業施設の建設が提案される中、最終的にはニューヨーク一等地の地価に見合う施設が選ばれたというのは、地価と商業施設の関係を考える象徴的な事例です。

 

 

 

2-2.オリンピックを見越した再開発の中心地としてのSM

 流行語にもなった「爆買い」にも代表されるように、近年の外国人観光客は消費のメインプレイヤーです。彼らは観光よりもショッピングを重視する傾向があります。それは2020年に開催されるオリンピックにはピークになるでしょう。

 また、近年の街の再開発を行う際というのは、その中心に商業施設をおくという流れが中心です。二子玉ライズは都市計画・まちづくりの中心に商業施設を置くという点でまさにその典型でしょう。これも「都市と消費とディズニーの夢」内で記載がありますが、近年の「都市間での競争原理の導入」という点が要因として考えられます。人口減少社会に入った現代では、各都市同士での魅力を打ち出すまちづくりの中心に、ショッピングモールが据えられているというのです。

 JRが打ち出す「ステーションシティ」も同様の試みと言えるでしょう。

www.tokyostationcity.com

 

 

 2-3.小売業界のトレンドの変化への対応策

  3つめは小売のトレンドの変化によるものです。下のダイヤモンドオンラインの記事に該当する内容が書かれています。ネット通販への差別化として、体験、モノからコト消費へと小売りのトレンドが移りゆく中で、滞在型・体験型の店舗設計が増えてきているというのです。

diamond.jp

  これまでのショッピングモール・商業施設の建物というのは効率良く販売するために碁盤の目状に分けられたフロアが基本でした。これはモノ消費を前提とした売り方です。コト消費の時代ではこのような建物では対応が難しい。そのため、その変化に対応したハードウェアが求められ、建設ラッシュが起きているとも考えられます。新宿伊勢丹のリニューアルなども、まさにそうした流れを汲んでのものでしょう。

www.nikkei.com

 さらに、これまで好調だったイオンや山田電気といった企業が苦戦を強いられ、その打開策としての店舗改革を行っているというのも、同様の流れを汲むものと言えるのではないでしょうか。

60店舗を一斉閉鎖・・・王者・ヤマダ電機の新戦略

家電量販店も、ライフスタイルの変化ネット通販の台頭などによって、競争が激化している。最大手のヤマダ電機は、2015年の5月、6月に不採算だった約60店舗を一斉に閉鎖した。ヤマダ電機はこれまで郊外を中心に大型店を出店し、価格と品揃えを武器に業界首位に躍り出た。業界で唯一、全国47都道府県に展開している。規模を追求することで売り上げも増やしてきたが、ここにきて戦略の転換を迫られているのだ。そこで始まったのが店舗の改革。一度、閉店させた店をアウトレット店としてリニューアル。店舗展示品や型落ち品だけでなく、中古洗濯機などを買い取り、修理して売り出すなど、リサイクル品の販売にも力を入れる。また10月には東京駅の目の前に、新しいコンセプトの店を出した。これまでのように、商品を一通り並べるのではなく、「最新情報の発信基地」がコンセプト。一体、どういうことなのか?王者の新戦略に迫る。

 

日経スペシャル ガイアの夜明け : テレビ東京

 

 

 3.これらを踏まえて

今後はこうした前提を踏まえて、最新のショッピングモールを探索していきたいと思います。こうした視点を持っていつも行くショッピングモールを眺めてみるのも面白いのではないでしょうか。